発足から10年 JICA「水の防衛隊」
JICA(独立行政法人国際協力機構)が、アフリカ地域で「水と衛生」に関する課題に取り組むボランティア活動「水の防衛隊」が発足して10年を迎えました。
アフリカの水や衛生の問題の改善を草の根レベルからサポートするため、JICAが「水の防衛隊」の派遣を始めて、今年で10年を迎えました。派遣者は260人に達し、地道な活動は水・衛生分野の取り組みに気づきと新たなアプローチをもたらしました。また、水の防衛隊の“卒業生”からは、水・衛生分野で活動を継続する人材も続いています。
2008年5月、横浜で開かれた第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で、日本は、「アフリカでの安全な水へのアクセス向上や衛生状態の改善などに寄与する人材を派遣する」と表明。同年11月、JICAは「水の防衛隊」の派遣を始めました。
水の防衛隊となったのは、水・衛生分野のニーズがある地域に関連性のある職種で派遣されるJICA海外協力隊(注)やJICA専門家たち。元々の活動を行いながら、水の防衛隊としても活動しました。JICA地球環境部・水環境グループなどが、事前研修や必要な知識の提供、水の防衛隊員同士の情報交換のための体制を整えました。
アフリカの大地にじわり浸透:「水の防衛隊」発足から10年 (JICA)
アフリカの水・衛生は、村落での井戸の建設から都市部での水道の整備、飲み水の問題からトイレの利用促進や衛生意識の向上などに焦点が広がりつつあります。JICAはこうした変化も踏まえながら、「水の防衛隊」を継続し、この問題に取り組んでいきます。
安全な水について住民に説明を行う水の防衛隊員
手洗いソングや紙芝居で手洗いの大切さを伝えるエチオピア水の防衛隊の取り組み
水の防衛隊 派遣実績
2018年6月現在、派遣者数は260人、活動国は21ヵ国になっています。
アフリカ各国への「水の防衛隊」の派遣数。21ヵ国への派遣者 260人の国別派遣者数は以下の通り。ウガンダ 51、ルワンダ 36、セネガル 25、エチオピア 25、カメルーン 23、ベナン 19、ケニア 14、ブルキナファソ 12、ニジェール 11、マダガスカル 8、マラウイ 8、スーダン 5、ガーナ 4、ナミビア 4、ザンビア 3、タンザニア 3、南アフリカ 3、モザンビーク 3、ガボン 1、ボツワナ 1、モロッコ 1(派遣者の多い順)
水と衛生の課題に取り組むボランティア活動
日本では当たり前の「安全な水」を得られない人々が、世界には実に 6.6 億人(2015 年 WHO/UNICEF)もいると言われています。 いうまでもなく、私たちの生命は「水」に支えられています。水がなければ、食料となる農作物は育ちません。濁って細菌などに汚染された飲み水は多くの感染症を招き、免疫力の無い小さな子どもたちの命を日々奪っています。また、今後地球環境の変化によって、水問題はアフリカ地域でますます深刻化し、今世紀の最重要課題になると考えられています。
「水の防衛隊」は、それぞれの強みを生かした貢献が期待され、水道局での水質検査、給水施設の維持管理支援から、水因性疾患を未然に防ぐことを目的とした小学校や村における衛生啓発活動など、職種や活動内容は国によって多岐に亘ります。また、日本ではあまり見かけることのなくなった井戸の知識や水に関する知識などは、派遣前の実践的な研修を通じて身に付けることができるため、水に関するバックグランドがなくても安心してご応募いただけます。 保健・衛生や水にご興味のある方にお勧めの案件です。アフリカの水・衛生問題にチャレンジしてみようというみなさんの参加を期待しています。 この「水の防衛隊」に関する要請案件には、「要請集」または JICA ボランティアウェブサイトの「要請内容」の欄 に「◆」印がついています。「要請集」にある要請の他にもウェブサイト上で追加されていきますので、是非ウェブサイトをご確認ください。
「水の防衛隊」~「水と衛生」の課題に取り組むボランティア (JICA)
水不足等による食料生産の低下等、海外からの食料輸入に依存する我が国にとっては、開発途上国の水問題は対岸の火事とは言えない問題です。開発途上国の水問題の改善に役立つ技術や経験を持つ日本人を派遣すること等により、JICAの支援が、水問題に対して特に脆弱である貧困層や子どもの生活改善に寄与することを目指しています。
50年におよぶ国家事業としての歴史や、多様な仕事内容、帰国後のキャリアについてご紹介します。
地域住民の声を直接聞き、彼らのニーズに応えようと努力する水の防衛隊。
彼らはアフリカ地域横断で情報を共有し、JICAの実施する施設整備等の事業とも連携しながら、アフリカの水環境の改善に向け、今日も汗を流しています。
(photo : JICA)
Leave a Comment