時間との勝負、1秒でも早くAEDで蘇生を
日本では毎日多くの人が心臓突然死で命を失っています。その数は、1年間で約7万人。1日に約200人、7.5分に1人が心臓突然死で亡くなっています。
心臓突然死の原因の多くは「心室細動」と呼ばれる重篤な不整脈です。心室細動になると心臓は震えるのみで血液を送り出せなくなります。いわゆる心停止の状態です。数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死んでしまいます。心室細動からの救命には迅速な心肺蘇生と電気ショックが必要です。
119番通報をしてから救急車が到着するまでの平均時間は8.6分。救急隊や医師を待っていては命を救うことはできません。 突然の心停止を救うことができるのは、その場に居合わせた「あなた」しかいないのです。
突然の心停止から救命するためにできることは①119番通報、②胸骨圧迫(心臓マッサージ)、③AEDによる電気ショックです。このうち、119番通報をして救急隊の到着を待っていたのでは9.2%の人しか救命できません。
しかし、胸骨圧迫をすることで2倍、さらにAEDを用いた電気ショックが行われることで、突然の心停止の半数以上の人を救えます。これは、そばにいあわせた人がすぐに実施するからこそ得られる効果であり、救急隊や、病院到着後に医師や看護師が行なう処置と比べて、数倍の効果です。あなたが行なう心肺蘇生は完璧ではないかもしれません。 しかし、それでも医療者が関わってから行われる治療よりも、効果が大きいのです。 勇気を持って一歩を踏み出すことで、救われる命が多くあります。
心肺蘇生、AEDによる電気ショックを受ける人の数は年々増加し、決して特別なことではなくなりました。心停止の直後には、けいれんがあったり、呼吸しているように見えたりと、心停止かどうかの判断に迷う状況がしばしばありますが、AEDは電気ショックの必要性を自動的に判断してくれます。落ち着いて119番に通報することによって、AED操作の的確な指示を得ることもできます。
AED (Automated External Defibrillator)
AED(自動体外式除細動器)
病院や診療所、救急車はもちろんのこと、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業などのほか、デパートや遊園地といった人が多く集まるところで、ハートのアイコンが付いたカバンのような形の機器が設置されているのを見たことがあると思います。操作方法は音声でガイドされるため、簡単に使用することができます。
心肺蘇生の手順・AED使用方法
いざという時、病気や事故などで心停止になった人を救うには、救急車が到着するまでの間に速やかに心肺蘇生(そせい)などの応急手当を行う必要があります。そばにいる人がすぐに手当を行えば、救命の可能性は高くなります。
AEDを用いた救命処置の流れ
胸骨圧迫の方法
AEDの使い方
(日本AED財団HPより)
日本赤十字社が制作した「心肺蘇生」と「AED」を学べる動画を紹介します。
【日本赤十字社】一次救命処置(BLS) ~心肺蘇生とAED~ (字幕あり)
病気や事故で急変した人を救命し、社会復帰させるために必要な一連の流れを「救命の連鎖」といいます。救命の連鎖を構成する4つの輪が素早くつながると救命効果が高まります。鎖の1つ目の輪は「心停止の予防」、2つ目の輪は「心停止の早期認識と通報」、3つ目の輪は「一次救命処置(心肺蘇生とAED)」、4つ目の輪は救急救命士や医師による高度な救命治療を意味する「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」です。
いざという時のために、各地で開催される消防の講習会に参加して、応急手当の知識と技術を身につけておきましょう。東京消防庁では、心肺蘇生やAEDの使い方、けがの手当などの救命講習を開催しています。大切な人・家族・そして命を守るために、救命講習を受講して知識と技術を学びましょう。
また、救命講習会に行く時間がないという方のために、消防庁では、e-ラーニングで応急手当の基本知識が学べる「一般市民向け 応急手当WEB講習」を用意しています。インターネットにつながる環境があれば、パソコンやタブレット、スマートフォンで、だれでも好きな時間に応急手当の基礎知識を学ぶことができます。講習をすべて受講し、最後のテストに合格すると「受講証明書」が発行されます。
素早く最寄りのAED情報を提供する、全国AEDマップ
日本救急医療財団が提供する全国AEDマップは、救命率を向上させることを目的に、AEDの位置情報を約26万件掲載しています。自宅や職場近くのAEDを確認し、もし未掲載のものがあれば投稿することができます。
日本救急医療財団 全国AEDマップ
【AEDの設置場所を一発検索】日本全国AEDマップ (無料版)
iOSデバイス向けアプリ
Androidデバイス向けアプリ
スマホで確認すると、自分がいる場所の近くにあるAEDがすぐに分かるので、みなさんも万が一に備えてAEDマップのアプリを使ってみてはいかがでしょうか。もし倒れている人を見たら、119番通報し、誰もが速やかにAEDを利用することが当たり前となる世の中になってほしいと思います。
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