日欧の水星探査機を搭載したロケットの打上げ成功
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が開発した水星探査機2機が19日午後10時45分(日本時間20日午前10時45分)、南米・仏領ギアナの宇宙基地からアリアン5ロケットで打ち上げられ、約30分後に探査機はロケットから分離、水星に向かう予定軌道に投入され、打ち上げは成功しました。
探査機2機は、水星の磁気圏や高層大気を観測するためにJAXAが開発した水星磁気圏探査機「みお」と、ESAの水星表面探査機「MPO」で、2025年末に水星を回る軌道に入り、約1年間の観測を続けて水星の構造や成り立ちなどを探ります。
これまで水星を探査したのは、米航空宇宙局(NASA)のマリナー10号(1974~75年)とメッセンジャー(2011~15年)の2機のみで、存在しないと思われていた磁場の発見や氷の確認などの成果を上げていました。
国際水星探査計画BepiColombo(べピコロンボ)ミッションの水星磁気圏探査機「みお」(MMO)及び水星表面探査機(MPO)を搭載したアリアン5型ロケットは、平成30(2018)年10月19日(金)22時45分28秒(現地時間)(10月20日(土)10時45分28秒(日本標準時))に、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターより予定どおり打ち上げられました。
ロケットは計画どおり飛行し、打上げから約26分47秒後に両探査機を正常に分離したことを確認しました。
今回の打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に深甚の謝意を表します。
水星磁気圏探査機「みお」(MMO)の打上げ結果について (JAXA)
水星磁気圏探査機「みお」の目的
水星の存在は、紀元前から人々に知られていました。しかし、地球の10倍にもなる強い太陽光による水星の灼熱環境や、軌道投入の難しさから、30年近く前のマリナー10号による観測、2015年に観測を終えたメッセンジャーとこれまでに、水星を探査したのは2機だけで、十分な観測データがありませんでした。
国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」は、水星の磁場・磁気圏・内部・表層を初めて多角的・総合的に観測する、日欧初の大型共同プロジェクトです。地球・火星・金星・水星と、地球型惑星の中で、地球と同じように固有の磁場を持つ惑星は水星と地球だけです。両惑星を比較することで、地球の磁場・磁気圏、さらには宇宙に存在する様々な磁気圏を理解するヒントを得ることができるかもしれません。
また、水星は半径の3/4にもなる巨大な中心核など、他の惑星には見られない特異な構造を持っています。内部と表層を詳細に探査することによって、太陽に一番近い領域で惑星がどのように作られたのか、惑星形成の秘密に迫ることもできるかもしれないのです。
水星磁気圏探査機「みお MMO」(JAXA)
水星表面探査機「MPO」(ESA – S. Corvaja)
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